風俗で働いた後遺症ってあると思う。
適応障害を起こすほどに出勤が嫌で嫌で仕方なくなった風俗だけど、辞めてみてトラウマになったのか? というと、そうでもない。
ただ、いちどあの生活を知ると、常に『いざとなったら風俗で1日○万稼いでどうにかできるなあ』という選択肢が頭のなかにPOPしてくる。
その度に、いやあんなにしんどかったじゃん、それに年々稼ぐのは厳しくなっているし、あん時より歳とったし、何より何よりいま私は休まなきゃいけないんだから、とその選択肢を打ち消す。
辞めて晴れ晴れとした気持ちになった私ですら、私は業界を【辞めた】と過去完了したのではなく、【辞め続けている】、と思っている。
ハードワークでも、精算すれば即金が手に入る。
それはきっと脳の報酬系に影響を与えてた。これはきっと依存症。即金依存症。
風俗は出戻りの多い仕事。彼氏ができたり昼職に就いたりして、卒業した、と言っても、数年後また業界に戻ってくる子を多くみかけた。
年々カジュアル化が進み、求人アドトラックが大音量で街を走り、ネットに情報は溢れ、足を踏み入れることはたやすくなった。
風俗に稼ぎに見合わない金額を使い込む男性客を、どうも性依存症のケがあると思いながら客としてありがたがっていた一方で、働いている私達も即金に依存させられていた。
目標を設定しても、達成したからきっちり辞めます、と消えていった子はほとんど見なかった。
私が業界から離れ続けることができているのは、一度稼ぐことを諦めて、生活保護に守られながら、それに併せて生活レベルを下げたこと。
半分は仕事のため、と言い聞かせながら消費していた衣装代、美容代、待機所にこもるためのコンビニ代、それらが必要なくなったと同時に、部屋にあふれていたモノモノを休みによってできた時間で処分して、保護費でまかなえる質素なものに切り替えた。もともとミニマリズムにあこがれていたのもあったし。
高級下着はもちろん買うのをやめた。美容室でカラーもトリートメントも辞めて、クレンジングはベビーオイル。シャンプーもボディソープも固形石鹸。
意外と小綺麗にできるし、生活がシンプルになって身支度にかける時間も減った。
身の丈に合った生活も心地よい。ここから少しずつ建て直して、無理のない範囲でできる仕事で。その丈を伸ばしていこう。
そう考えているときにだって、フとした時に、即金への誘惑にかられる時がある。
それでも稼げるならいいじゃん、と業界に足を踏み入れようとする女の子になまぽちゃんからできるアドバイスはこれくらいです。
求人とスカウトは都合のいい事しか言わんぞ。
行きはよいよい帰りは怖い。
怖いながらも通りゃんせ通りゃんせ。……なるべくなら、通ってほしくない道です。
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